[俺がメガマサヒデじゃい&
俺達が銀杏BOYZだず]


2004/06/17 神戸スタークラブ
メガマサヒデ レコ発ファイナル メガマサヒデ&銀杏BOYZ
「俺がメガマサヒデじゃい&俺達が銀杏BOYZだず」
ゲスト高田渡


 


僕は中学の頃、自分のスネ毛が濃くなることが許せなくて、毛がはえる度にカミソリで剃ったり、
ガムテープで足をグルグルまきにした、それを一気にはがして毛を抜いていた。
おかげで今の僕のスネ毛はモジャモジャだ。モジャモジャのわりに足が細く、おまけに色黒なもんだから、
高校の頃はゴボウなんて呼ばれていた。「テメエラコロース!!」
メガ君も毛が濃い。性格も濃い。唄も濃い。そして、昭和24年は元旦生まれの高田渡さんの唄も濃い。
そんな濃い人達と、神戸はスタークラブで濃い一日を過ごした。

この日はメガ君の「俺がメガマサヒデじゃい」(メガ君の2枚目のアルバム)のCD発売記念ライブであり、
また僕達との共同企画でもある。そして、ゲストでメガ君も僕たちも大好きな高田渡さんをお誘いしました。
メガ君は、この日まで全国津々浦々とレコ発ライブをやってきて、そのツアーの最終日、地元の神戸というのも
あって、普段よりいっそう毛深くなっていた。そいでもって僕も物凄く毛深くなっていた。
あんまり楽しみだったから、前日から神戸でメガ君と会って、銀杏メンバーとスタッフ江口君とで、
メガ君がよく行く須磨区は板宿の純喫茶「RAG TIME」に遊びに行った。そこは初めて行くトコなのに、
とても懐かしい喫茶店だった。僕らが座って満席になる小さい店内には雑貨や、とても興味深い雑誌(昔の宝島!!)
やレコード、ギターが所せましと並び、壁にはヤニで黄色くなった写真や地元の青年が描いたという絵が
飾られていた。とにかく隅々までマスターにとって意味のあるモノが詰め込まれていた。
そこでレコードを聴きながらアイスコーヒーやアイスティーなんかを3、4杯も飲んで、
メガ君とワイワイガハガハ、3時間も過ごした。

スタークラブのライブでお互いセッションしようなんて言って、神戸の練習スタジオを押さえていたけど、
結局キャンセルして、店ん中でアコギ弾いて、みんなで唄った。セッションなんていう程カッコいいもんじゃ
ないけど、銘々自由に唄って、リズムをとって、そこはホントに素晴らしい空間だったよ。
それをマスターがニコニコしながらタバコの煙をゆらせて眺めてんの。
とってもえがった時間だったなぁ〜。
こんな雰囲気を明日出せればいいね、なんつってアタイはホテルの部屋でマスターベーションNOW!!
一夜明けてライブ当日、高田さんと初対面。楽屋では早速ガンガン、ビールを飲んでらっしゃいました。
音楽やって唄ってなけりゃ、ただの飲んべえのおっさんですよ。ずっーと飲んでるんだもの。
でも、この酔いどれのおっさん、ステージに座って唄いだしたらスゴいんだろうなぁ、なんて思っていたわけですよ僕は。
ところがどっこい、淡々とステージに出てきて淡々とギターを持って、淡々と「いや〜ん、どうもどうも
高田渡です。今日はお客さんが若いねぇ〜」なんてしゃべって、淡々と唄い始めるんですもの。
なんてマイペースなのかしら!!ステージに立つ前と立った後で全く人が変わらないのです。
僕は高田さんの目の前で高田さんの唄を聴きました。とても静かに淡々と唄う高田さんの曲が、時間が
進むうちに自然と激しく僕に響いてきました。スタークラブは線路の下にあるライブハウスで、
僕らがうるさい音を出してライブしてるときは全く電車の音が聞こえないのですが、
高田さんのライブでは、曲の合い間、合い間に電車の通る、ガタンゴトンという音が聞こえました。
それが妙に高田さんの唄とあっていました。
高田さんは曲順を決めてないらしく、その場で歌詞カードをめくりながら、「じゃあね、次はもうちょっと
わかりやすい唄を。」などと言って、ノリで演奏する曲を決めて唄ってました。
「しらみの旅」など一番最初の音源からも数曲やっていました。
高田さんのライブも終盤に入り、高田さんが大昔よく行っていた仙台のレストランの話をしました。
今は亡き友人がやっていた店の話でした。そして、そのことを唄にした曲をやりました。
詩はとても日常的で、目をつぶって聴いていると素朴な風景を思い描いてしまう曲でした。

高田さんの、くしゃくしゃに伸びきったヒゲの顔を見ると、目から涙がこぼれていました。
自然と僕も唄を聴いて泣いてました。静かで、淡々とした唄を歌っている高田さんの後ろに、
とても大きな悲しみや喜びを感じました。最高のライブでした。

続いて気分を換えて、銀杏BOYZ。曲を進めるごとに会場内が異様な熱気に包まれ、モノ凄〜く暑かった。
イヤ、ホントに暑くて、僕は2回も意識を失いかけたのを覚えている。まぁ、後から聞いたら空調が
故障してたらしいんだけども。いつもよりも曲数が多く、初めて演奏した新曲もあって、
とても新鮮でおもしろかった。
続いては本日のメイン!!メガマサヒデ登場!!
「俺がメガマサヒデじゃい」からの曲を中心に「日本ロック元年」に入っている曲も演奏した。
いっぱい唄ってました。
そして、異常なまでに一曲一曲に心を込めて唄ってました。
そして、言葉が、メロディーが、想いが、スタークラブに来ていた人達全員に聴こえるように唄っていました。
「僕とアンタ達で、今日この時を伝説の一日にしようや!!」
と言って唄うメガ君と、お客さんが、神戸の薄暗くて小汚いライブハウスで完全に一体になっていました。
みんながメガ君の曲で大合唱!!「僕みたいに、センスも唄やギターの才能もないヤツが、
こうやって気持ち一つでステージに立って唄うことが出来るんや。あんたらだって気持ち一つで何だって出来る!!」
ホントねぇ、メガ君の曲もそうだけど、曲の合い間にしゃべってるコトも全部僕の血の中に入ってくるんですよ。
メガマサヒデっていう人自体が作品みたいなモンだな。僕は本当に彼のコトが好きくさい。
はずかしいくらい赤裸々な恋の唄「全部チョー消し」から批判とユーモアの詰まった、「ウチの子に限っての
ブルース」や愛と毒と情熱の詰まった、「俺がメガマサヒデじゃい」まで、とってもメガ君らしい
曲が詰まってるアルバム「俺がメガマサヒデじゃい」。
もっともっとこういう作品が売れて欲しーい!!というか、そういう世の中になって欲しい。
って思うくらい僕は彼が大好きだ。愛と毒と笑いがメガ君には詰まってる。
いいライブが観れました、ホントウに・・・・・。
で、メガ君のアンコールでは、「Born in the U.S.A」を銀杏BOYZ全員とメガ君で演奏しました。
一回も練習してないのに出来るもんですね。凄いグルーヴが生まれました。
そして、次はミネタ氏とメガ君で「BABY BABY」と「全部チョー消し」を二人で、お互いの曲を
一曲ずつ唄いました。
ホントに、とても素敵な空間になってたよ。

久々に来たスタークラブで、一生忘れられない一日を過ごしてしまった。高田渡さんとも共演できて
光栄でした。
高田さんの、1969年にアングラ・レコード・クラブ(URC)よりリリースされた音源(2002年に再発されている)
のインナーに「唄は民衆自身のものでなければならない。そこには真実のみが生きている。
踏まれても踏まれても決して枯れることのない生きもの。踏まれれば踏まれるほど強くなっていく生きもの。
それが民衆である。こうした不屈の民衆のたましいを唄っていきたい。」と、高田渡さんの文章が載せてあった。
メガ君とも僕らとも通じることだ。何回も言うようだけど、素敵な一日だった。
そして、メガ君と出逢えてよかったとつくづく思う。ア
リガトウ。



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